社会福祉施設の避難確保計画とは?

対象施設・作成ポイントを分かりやすく解説

近年、全国各地で豪雨災害や台風、高潮災害が発生しており、高齢者や障がい者など避難に時間を要する方々への支援体制の確保が重要な課題となっています。

このため、水防法および土砂災害防止法では、洪水浸水想定区域や高潮浸水想定区域、土砂災害警戒区域内に所在する要配慮者利用施設に対し、「避難確保計画」の作成が義務付けられています。

しかし実際には、

「計画書は作成したが内容に自信がない」

「実地指導で何を確認されるのか分からない」

「災害時に本当に機能する計画になっているか不安」

といった声も多く聞かれます。

本記事では、社会福祉施設における避難確保計画の概要と作成時のポイントについて解説します。

避難確保計画とは

避難確保計画とは、洪水や高潮、土砂災害などの災害発生時に、利用者や職員の安全を確保するための避難行動を定めた計画です。

特に高齢者施設や障がい者施設では、自力での避難が困難な利用者が多く、一般住民よりも早い段階で避難を開始する必要があります。

そのため避難確保計画では、

・災害情報の収集方法

・避難開始の判断基準

・避難誘導体制

・避難先

・避難経路

・避難支援体制

などを具体的に整理しておく必要があります。

対象となる施設

避難確保計画の作成が求められる施設は、各自治体の地域防災計画に位置付けられた要配慮者利用施設です。

代表的な施設は以下のとおりです。

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・有料老人ホーム

・サービス付き高齢者向け住宅

・グループホーム

・デイサービスセンター

・障がい者支援施設

・障がい福祉サービス事業所

・保育所

・認定こども園

・幼稚園

・児童福祉施設

・病院

・診療所

対象となるかどうかは、市町村の地域防災計画で確認できます。

避難確保計画で重要なポイント

1. 災害情報の収集体制

気象庁や自治体から発表される気象情報や避難情報を確実に把握する体制が必要です。

誰が情報を確認するのか。

夜間や休日は誰が担当するのか。

複数の手段で情報を受信できるか。

これらを明確にしておくことが重要です。

2. 避難開始判断

実地指導や計画点検で特に重要視されるのが避難開始判断です。

避難情報が発令されてから準備を始めるのでは遅れる場合があります。

利用者の状態や施設の立地条件を踏まえ、

・警戒レベル

・河川水位

・気象警報

・自治体からの情報

などを基に、施設独自の避難開始基準を定める必要があります。

3. 避難支援体制

利用者ごとに必要な支援内容は異なります。

車椅子利用者

認知症高齢者

医療的ケア利用者

など、それぞれに応じた支援体制を整理しておく必要があります。

また職員配置が少ない夜間や休日の対応も重要な確認項目です。

4. 避難先と避難経路

避難先が実際に利用可能かどうかを確認しておくことも大切です。

特に高潮災害では、必ずしも遠方へ避難する必要はありません。

建物の上階へ移動する垂直避難が有効な場合もあります。

施設周辺の浸水想定や地域特性を把握した上で、適切な避難方法を選択することが重要です。

避難確保計画とBCPの違い

避難確保計画とBCP(業務継続計画)は混同されることがあります。

避難確保計画は、

「利用者と職員の命を守る計画」

です。

一方でBCPは、

「災害発生後も事業を継続する計画」

です。

それぞれ目的は異なりますが、実際には連携して運用することが望ましいとされています。

作成して終わりではなく訓練と見直しが重要

避難確保計画は作成して終わりではありません。

訓練を実施し、実際に運用できるかを確認しながら改善を繰り返すことが重要です。

訓練を通じて、

・情報伝達は機能したか

・避難判断は適切だったか

・避難支援体制に問題はなかったか

などを確認し、計画へ反映していく必要があります。

まとめ

避難確保計画は、社会福祉施設において利用者の命を守るための重要な計画です。

特に近年は豪雨災害や高潮災害が増加しており、実効性のある計画づくりが求められています。

当社では、防災専門家による避難確保計画の点検・評価を実施し、レーダーチャートやアドバイスシートを用いて改善点を分かりやすくご提案しています。

現在の計画書に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。